天秤棒で売り歩く女性たち

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 毎朝7時半ごろ、自転車でさくら日本語センターへ行く。途中何人もの女性が天秤棒の前後にくだものや野菜をぶら下げて歩いて行くのを追い越す。春にはマンゴー、夏にはドリアン、秋にはぶどう、冬にはみかん類。片方で、10キロはあるなあ。前後で20キロ。さらに秤を別に手に持っていたり。時々荷物を降ろして担ぎ換えたりする。みんな痩せた小柄な女性。(たまには背のある人もいるけど)
 こうした女性を見ると、私は母を思い出す。私の母は小学校の教師だったのだが、同業であり農家の長男の父と結婚した。(昔は豊かではない家の子どもが勉強できるのは師範学校ぐらいだった。)戦後すぐ、猛烈なインフレと、義父が死に農家の働き手がいなくなり、母が仕事をやめ、農作業をせざるをえなくなった。以後の母の生活は一変した。町育ちの母は農業などやったことが無かったし、敗戦までは町に住んでいたので、農業は全く知らない。義母(私の祖母)はとてもきつい人だったし、どんなにつらかったか。時々には私も聞いたことがある。何度町の実家へ帰ろうと思ったか。でもバス代がないから、帰れなかったと。
 昔の農作業はみんな手作業であり、運ぶのは天秤棒。天秤棒で収穫の芋や野菜も運ぶし、肥料にする肥えも運ぶ。母も小さい体で運んでいた。おまけに山地の農家だから、段々畑に段々田んぼ。おまけに、10年後には父は町へ単身赴任。(結局、母もその後数年後には町へ移ったとだけど)
 天秤棒のくだもの売りの女性の中で、母の面影とよく似た女性に出会った。私は彼女を見かけては、くだものを買い、彼女も私を見かけると笑顔を返してくれた。最後につたないベトナム語で帰国を告げると、残念がってくれた。

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